2025年05月15日 (木)

法定休日と連続労働日数

令和6年11月、厚生労働省の研究会は、労働者に
「14日以上の連続勤務をさせてはならない」とする法改正を検討すべきだという案を示しました。
今回は、厚生労働省より公表された「労働基準関係法制研究会報告書」より、
休日に関して行われた検討課題を見ていきたいと思います。

休日とは?【労働基準法第35条】

休日は、労働契約上、労働提供義務のない日をいい、
毎週少なくとも1回又は4週間を通じ4日以上与えなければならないとされています。
労働基準法上、何曜日を休日と特定するかについては定めがなく、
通達において「具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導」する旨が示されています。

検討課題①_【定期的な休日の確保】

現行法では理論上、4週間の最初の4日と次の4週間の最後の4日を休日とすれば、
間の 48日間を休日労働の扱いとせずに連続勤務させることが可能です。
さらに、「時間外・休日労働協定」(36協定)を締結していれば休日労働も可能となるため、
さらに連続勤務日が長くなる可能性もあり得ます。

労災保険における精神障害の認定基準では、2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行ったことが
心理的負荷となる具体的出来事の一つとして示され、近年でも具体的出来事の一つとして評価され、
精神障害事案として労災保険の支給決定を行った事案が発生しています。

そこで、2週間以上の連続勤務を防ぐ観点より、
「13日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労働基準法上に設けるべきであるとされました。


検討課題②_【法定休日の特定】

現行法では、法定休日の特定について定めがありません。
週休2日制の下では1週の中に法定休日と所定休日が混在する場合が多く、
法定休日に関する法律関係が使用者と労働者の間で明確に認識されるべきであることから、
法定休日を特定すべきことを法律上に規定することに取り組むための論点整理が行われました。

●「週1回の休日が確保されること」から「あらかじめ特定した法定休日が確保されること」に変わることによる罰則適用の変化
●法定休日の振替(※)を行う場合の手続及び振替の期間
●使用者が法定休日を指定する際の手続

最後に

働くためのルールである労働基準法は、
①事業または事業所に使用され、賃金の支払いを受ける労働者を対象とし、
②労働者が働く場である事業場を単位として規制を適用する
ことで労働者を保護する法的効果を発揮してきました。

一方、変化する経済社会の中で、業務に関する指示や働き方が
労働者として働く人と類似しているフリーランスなどの個人事業主、
リモートワークの急速な広がりとともに、
オフィスによらない事業を行う事業者の出現など、
「労働者」「事業」「事業場」などの労働基準法制における基本的概念についても、
変化に応じて在り方を考えていくことが必要とされています。

…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*….*…..*……*…..*…..*…..*…..*…..*…..*
≪2025年5月1日発行 マロニエ通信 Vol.267より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie