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外国人留学生が入学したり、卒業して就労したりする季節になりました。
留学生のアルバイトに関する情報提供をさせていただきたいと思います。

1.そもそも我が国には、どのくらい外国人留学生がいるのでしょうか。
出入国管理庁(入管)の統計「在留外国人数の推移」によれば、
令和6年6月末現在で、約37万人となっています。
国別では、中国が1位(約13万人)、ネパールが2位(約7万人)、
ベトナムが3位(約4万人)であり、ネパールの急増が目立ちます。
我が国では、教育を受ける活動が本来の目的である留学生が、
欠かせない労働力として位置付けられていることに、個人的には違和感がありますが、
一段と人手不足が進む中、やむを得ない現状ということでしょう。
2.留学生を雇用する場合、最も注意すべき点は、就労時間に関する制限です。
法律の建て付けとしては、留学生が日本滞在中にできるのは、
「教育を受ける活動」のみというのが原則です。
しかし、入管から「資格外活動の許可」を取得すれば、
週28時間以内であれば、就労することができます。
留学生が就労できる職種は幅広く、ホワイトカラーの業務のみならず、
単純作業もできます(風俗営業はできません)。
「週28時間以内」はよく知られた制限ですが、資格外活動の包括許可があれば、
学校の定める長期休暇期間(夏休み等)には、1日8時間・週40時間までの就労が可能です。
また、インターン活動については、個別許可を取得すれば、
長期休暇期間でなくとも、週40時間まで就労できます。
ただし、在学中の就労時間が多すぎると、就労ビザへの切り替え時において、
不利に判断する入管の審査官もいると聞きます。
この週28時間以内の就労制限は、厳格に運用されています。
留学生によるアルバイトの掛け持ち自体は禁止されておらず、
就労時間の管理は、本人および雇用主の責任となります。
もし、この制限時間を超えて就労してしまうと、留学生本人は、在留資格更新の不許可、
悪質な場合は、強制退去命令処分の対象になり得ます。
雇用主側も、過失がないと証明できなければ、不法就労助長罪が適用され、
3年以下の懲役または300万円以下の罰金、若しくはその併科が課せられる可能性があります。
雇用主は、就労時間制限を超えていないか、定期的に直接本人に確認するなど、
過失がないことを証明できる状況にしておくことが望ましいことになります。
3.先月号でも触れさせていただきましたが、我が国は150ヶ国を超える国と租税条約を締結しており、
一部の国とは、一定の条件の下、留学生のアルバイトにかかる所得税を免除しています。
最も寛大なのは中国からの留学生に対するもので、金額・期間に制限なく、免除されます。
その他、韓国・タイ・インドネシアなどからの留学生は、
期間や金額に制限が付いた上で、免除されます。
例えば、韓国からの留学生は、滞在期間5年間、年間2万ドルまで、免税となります。
留学生は、アルバイトにより人手不足を埋め合わせてくれるだけでなく、
卒業してから同じ会社に就職し、正社員として活躍してくれることも多いです。
その後、幹部として会社の中核人材となるケースすら増えています。
貴重な人材である留学生とは、win-winとなる関係を築いていきたいものです。
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≪2025年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.266より≫
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