2024年10月17日 (木)

ハラスメントを防ぐ、職場環境整備

職場のハラスメントについて、法的要請、社会的関心は近年さらに高まっています。

パワハラ、セクハラおよび顧客等からの著しい迷惑行為について、
過去3年間での勤務先での経験有無・頻度を聞いたところ、
各ハラスメントを一度以上経験した者の割合は、
パワハラが31.4%、顧客等からの著しい迷惑行為が15.0%、セクハラが10.2%となっており1、
ハラスメント防止への取組みは、人事労務領域の喫緊の課題と言っても過言ではありません。
1 令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査より

ハラスメント防止のための取組

職場におけるパワハラやセクハラ、マタハラを防止するために、
事業主が雇用管理上講ずべき措置が厚生労働大臣の指針に定められています。

他にも指針には「行うことが望ましい取組(以下、望ましい取組)」が定められており、
「望ましい取組」は、効率的にハラスメントの防止策を推進する上で参考にすべき内容です。

各種ハラスメントの一元的な相談体制の整備
 
ハラスメントが複合的に生じることも想定されていることから、
 指針では、様々なハラスメントについて一元的に応じることができるよう
 窓口を整備することが望ましいとされています。

職場におけるハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための取組
 
風通しの良い職場環境づくりや、精神的・肉体的に負荷の高い職場環境や組織風土の改善、
 適切なコミュニケーションのためのスキルアップが、ハラスメントが起きにくい職場づくりに重要です。
✓ コミュニケーション活性化を図るための「定期的な面談」、「ミーティング」の実施
✓ 適正な業務目標の設定や業務体制の見直しと業務効率化を通じた長時間労働の是正等、
  職場環境の改善のための取組
✓ 「感情のコントロール手法の研修」や、「コミュニケーションスキルアップの研修」の実施
✓ 産育休関連制度等の周知と、妊娠した労働者が自らの体調等に応じて
  適切に業務遂行する意識を持つことの啓発

労働者や労働組合等の参画
 
必要に応じてアンケート調査や意見交換等を実施することにより、
 労働者や労働組合の参画のもとその運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等も有効です。

ハラスメント防止策は、制度を作っただけで完成するものではありません。
有効な対策は企業ごとに異なるものであり、
法律の内容に沿って自社の実情を踏まえて対策を充実させる継続的な努力が必要です。

ハラスメント発生時の対応フロー

防止策を実施していてもハラスメントが起きてしまった場合、
相談窓口の担当者が対応フローを理解して迅速かつ適切に対応できるようにしておくことも重要です。


来年には、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)についても、
事業主に防止措置義務が課される予定です。
より一層会社としてハラスメント防止の取組が求められますが、
積極的な防止策を講じることで、
生産性の向上、メンタルヘルスの改善や多様な人材が安心して健康に働ける職場づくり、
離職率の低下、採用力アップといった経営上のメリットも多くあると思われます。


…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*….*…..*……*…..*…..*…..*…..*…..*…..*
≪2024年10月1日発行 マロニエ通信 Vol.260より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie