2021年02月18日 (木)

中途採用比率の公表義務化(令和3年4月1日施行)

政府の雇用制度改革の一環として、労働施策総合推進法が改正され、
令和3年4月1日より企業に中途採用比率を公表することが義務付けられます。
そこで今回は、改正法のポイントについてご紹介します。

公表義務化の目的

「人生100年時代」を迎える現代社会において、職業生活の長期化が見込まれるなか、
働く意欲のある人の能力を存分に発揮できる社会へ転換していく狙いがあります。
さらに、人材の流動化が企業の成長を支えるイノベーションに欠かせないとして、
中途採用比率を公表することで職場情報を見える化し、転職希望者と企業のマッチングを促進していきます。

対象企業は労働者数301人以上の事業主

対象企業は、常時雇用する労働者の人数が301人以上の企業です。

日本の雇用慣行のひとつに新卒一括採用があります。
厚生労働省によると、採用者全体に占める中途採用の比率は、
企業規模が大きくなるほど減少傾向にあります。
一方、転職希望者からは「正規雇用の中途採用の実績」を要望する声が多く、
大企業に色濃く残る新卒一括採用の採用制度を見直すことで採用市場の変化が期待されます。

なお、中途採用比率とは
「正規雇用者労働者の採用者数に占める正規雇用労働者数の中途採用者数の割合」
を指します。


「直近3年の情報」をホームページに掲載

公表項目は、直近3年の事業年度の中途採用比率とする方針で、
公表方法は求職者が容易に閲覧できる方法としており、ホームページが主流となるでしょう。

また、「中高年齢層の中途採用比率」や「管理職の中途採用比率」など
中途採用後のキャリアパスや人材育成・処遇などの情報開示も促す予定ですので、
動向を注視する必要があります。

罰則規定はありませんが、違反した企業に対する指導・勧告に関する詳細については、
今後の労働政策審議会によりガイドラインを定め、企業に周知していく予定です。

企業にとっては、このような機会を積極的に利用することで、
優秀な人材を確保することに繋がる可能性があります。
今後、中途採用市場の競争が激化するなかで、
自社をアピールするためにも適正に対応していくことが必要です。

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2021年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.216より≫
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