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こんにちは、アーク&パートナーズ 米国税理士の成田です。
時代を反映してITを活用した仕事の形態が増えるにつれ、
税務関連でご相談いただく内容も変化しています。
IT社会の到来により、海外でWebベースの業務を行い、
成果物はメールやWeb上で日本の会社に納品するということが、
極めて容易にできるようになってきました。
これにより、海外に居住している社員への給与の支払いに関する課税と、
海外居住の個人事業主への報酬支払いに関する課税は、
弊社でコンスタントに受けるご相談内容となっています。
いずれの場合も、役務の提供が海外で行われているなら、
非居住者による「国外源泉所得」の稼得となりますので、
日本での課税は原則発生せず、源泉徴収の必要もないことになります。
給与・報酬の受取人は、居住している国でその所得を申告することになります。
ただし、役員への給与の場合は「国内源泉所得」とみなされて20.42%の源泉徴収が必要になります。
また、原稿料の支払いは「著作権の使用料」としてやはり「国内源泉所得」と
みなされ同率の源泉徴収が必要になるなど、例外規定には注意しなければなりません。
最近では、社会保険を巡る問題にも波及しています。
先日は、ご夫婦で米国に転勤予定の方の案件でご相談を受けました。
ご主人は、赴任後も日本の厚生年金保険を継続します。
一方、当初専業主婦として渡米予定だった奥様が,日本の会社から
Webベースの仕事を自営業者として請けることになり、
その収入が社会保険上の扶養限度額を超えそうだということでした。
この場合、法律上はご主人の扶養に入ることはできません。米国での確定申告時に
Social Security Tax(日本の年金保険料に相当)を支払い、
米国の年金保険制度でカバーされることになります。
将来日本の年金受給額を増やしたければ、
国民年金に任意加入して保険料を支払うことはできます。
近年は、経済社会の国際化・IT化と共に案件は複雑化し、
これまでの法制度では対応しきれない事態が、
社会保険分野でも増加してくることが予想されます。
今後、関連法が変更される可能性も十分考えられますね。