2020年04月09日 (木)

高年齢雇用継続給付金 段階的廃止へ

60歳から64歳の高齢者に支給されていた「高年齢雇用継続給付金」が段階的に廃止されます。

[Point1] 高年齢雇用継続給付金とは

60歳到達時点と比べて賃金が低下した場合、一定の要件を満たす60歳から64歳の被保険者に対して
支給される雇用保険の給付の一つです。
高年齢雇用継続給付金には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があり、
継続して働く60歳から64歳の労働者の賃金が60歳到達時点に比べて75%未満の場合、
低下率に応じ、給与月額の最大15%の給付が受けられます。
※ 高年齢雇用継続給付金には支給限度額があります。


[Point2] 今後の流れについて

高年齢雇用継続給付金の現在の給付水準を2025年度に60歳になる人から半減させ、
2030年度以降60歳になる人から廃止します。

つまり現在54歳の人から半減される事になります。
2025年に経過措置が終了し、企業による65歳までの高年齢者雇用確保措置が整うことや、
いわゆる同一労働同一賃金の対応などにより、企業が賃金も含め、雇用形態にかかわらない
公正な待遇を自力で確保すべきだと判断されました。

高年齢者雇用確保措置
定年を65歳未満に定めている事業主は、以下①~③のいずれかの措置を講じなければならない。
① 65歳まで定年年齢の引上げ
② 65歳までの継続雇用制度の導入
③ 定年制の廃止

 

[Point3] 70歳までの雇用 2段階で義務化へ

厚生労働省は、令和2年の通常国会で高年齢者雇用安定法の大幅改正案を提出する方針を明らかにしました。
企業による70歳までの雇用・就業維持を努力義務化する意向です。
高年齢者雇用安定法の改正は、2段階で行われ、運用状況などを考慮し今後は70歳までの雇用を
努力義務から義務化に移行させる予定です。
高年齢雇用継続給付金が廃止されると様々な影響が考えられ、最も大きな影響は、高年齢者の収入額の減少です。
収入額の減少を企業が補填する場合、人件費の増加が企業経営に大きくのしかかります。

高齢者を多く雇用する企業ほど、今回の改正の影響は大きく、今後の動向も踏まえ、
企業として如何に対応していくのか、検討する必要があるのではないでしょうか。


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2020年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.206より≫
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