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こんにちは、アーク&パートナーズ米国税理士の成田です。
近年、外国人を雇用する企業が増えていますが、大手商社の管理部門担当者と行政書士の方から、
共通した興味深い話を伺う機会がありました。日本の中小企業が外国人を雇用する場合、
その動機は圧倒的に「人手不足なので、安い労働力を確保したい」というものです。
しかし今、その考え方に対して外国人側から逆襲が起きているというのです。
本来、外国人労働者にも労働基準法等の労働法令は等しく適用され、最低賃金や時間外割増賃金を適正に支払う必要があります。
また、労働保険や社会保険も、原則日本人と同じ条件が適用され、該当すれば必要な加入手続きをせねばなりません。
しかし、残念ながら、そうした意識のない企業は多数存在します。その典型が技能実習生制度であり、
日本の技術の移転という本来の目的からかけ離れ、単なる短期的な安価な労働力として法令違反の状態で実習生を酷使する例が、
マスコミ報道でも問題視されています。
これに対して、雇用されている外国人が急に退職したり、あるいは会社に何も言わずに帰国する、あるいは失踪するという
ケースはこれまでもありました。そして最近では、外国人が法的な権利を主張して訴訟まで起こすケースも珍しくなくなっており、
バングラデシュ人の技能実習生が未払い賃金の支払を求めた有名な訴訟も存在します。
別の次元では、日本で雇用された経験を持つ外国人が、日系企業のライバルとなって出現する事例も増えているようです。
外国人労働者を日本の企業に紹介する現地の送り出し機関は日本人が経営している場合が多いですが、日本で雇用された経験を
持つ優秀なベトナム人が、本国に帰国して送り出し機関を設立起業し、日系企業の競争相手となっている話を聞きました。
外国人を安価な労働力としてだけ捉えていると、手痛いしっぺ返しを受けるおそれがあります。
外国人を雇用する場合には、なぜ外国人を雇用するのかという理由を明確にし、外国人であることを有効に活用した
人材管理が求められてきています。