2020年02月27日 (木)

想像を超える

年始にかけて、日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告のレバノン逃亡の話題でもちきりでした。
楽器箱に隠れて輸送されたとか、元特殊部隊隊員が関係したとか、スパイ映画さながらのストーリーが語られています。
まさに並みの日本人の想像を超える事態でしたが、保釈期間中に逃亡されてしまったという事実は重く、
保釈および出入国管理の関係者は、責任を問われることとなるでしょう。

ゴーン氏の逃亡は極端なケースですが、外国人や海外関係の案件では、普段の日本人の常識では
計り知れない事態に遭遇することもあります。

数年前には、技能実習生が、空腹のあまり近所の家畜の山羊を勝手に捕獲して食べてしまった、
という事件もありました。
弊社で聞いたことのある事案としては、外国人労働者数名が、入社早々に「春節」( 旧正月) に
長期の休暇を申し出て、これを認めなかったところ、一年で一番大事なお休みを認めてくれないならと、
一斉に辞めてしまった、というものがあります。
「春節」のお祝いの重要性は、その習慣のない日本人には、肌感覚として理解することは難しいですが、
この場合、会社としては、そのタイミングでの休暇は取得できないであるとか、
特別に何日かは認めることなどを、予め外国人労働者側と合意しておけばよかった
、ということになります。
また、近年のムスリム労働者の増加に伴い、「就業時間中にイスラムのお祈りをするのだが、
その時間の給与につき欠勤控除すべきか悩ましい」という声も聞きました。

海外赴任に関連しては、最近、外務省主催の危機管理セミナーに出席し、驚いたことがあります。
例えばメキシコでは、誘拐が日常茶飯事の「ビジネス」になっているとのことで、
具体的なケースを想定した模擬訓練がいくつも行われ、駐在員予定者や人事部門担当者が熱心に参加されていました。

日本人の想像を超える事態に、事前に完璧に準備することは不可能です。
それでも、弊社は専門家集団の一員として、企業の人事部門の皆様が、できるだけの
リスクマネジメントができるよう、各種助言・サポートを行って参る所存です。

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2020年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.204より≫
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