2019年04月25日 (木)

多文化共生社会へ

先日、外国人介護士雇用に関するセミナーが開催されました。

外国人採用コンサルタント会社およびビザ専門行政書士事務所と並んで、

外国人雇用における労務管理上の留意点について弊社でも講師を担当させていただきました。

30 社あまりの介護施設の運営担当者にご参加いただき、いかに介護事業者の方々が人材不足に悩み、

外国人材に熱い視線を向けておられるか、肌で感じることができました。

本年4 月1 日現在で、外国人介護職としては

「EPA」「在留資格としての介護職」「技能実習生」「特定技能」の4 種類が存在しますが、

EPA 以外はごく最近導入された制度であり、本格的な採用は、まさにこれからというタイミングです。

セミナーの中で、埼玉県のある介護施設の事務局長の方が、とても印象深いお話しをされていました。

長年、日本人の採用が困難を極めていたので、近年になって、理事長の決断により外国人材活用の方向に舵を切りました。

しかし、実際に某国の人材を採用してみたところ、勤務態度も不良で職場にも馴染めず、短期間で退職してしまったそうです。

そこで諦めず、今度はベトナム人材を採用したところ、当初は日本人ほどの気働きができず、教育には少し時間がかかったものの、

今では立派な戦力として活躍しており、とても感謝していると、切々と語っておられました。

セミナー終了後にさらにお話を伺うと、実は当初は日本の食事が口に合わないなど、生活面でのサポートが大変だったそうです。

ベトナム人技能実習生が、日本の食事が口に合わないので、公園のカモを自分で調理して食べようと捕獲したとして、

警察に書類送検されたという3 月の報道を思い起こします。

数多くの外国人が入ってくるということは、日本が多文化共生社会にならざるを得ないことを意味します。

自治体は、医療や災害対応、教育といった面で、生活者としての外国人に配慮せねばなりません。

そして就労者としての外国人には、会社が対応せねばなりません。

文化の異なる食事や宗教の扱いなど、これから大きな課題として浮上してくるでしょう。

これまで経験したことのない多文化共生社会が、試行錯誤を経ながら、日本で形成されていく過程と感じております。

ビジネス日本


≪2019年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.194より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie