民法改正で人事労務分野にも影響が?!

平成32 年4 月より民法の大幅な改正が予定されています。

人事労務分野では、労働契約の終了、賃金請求権の消滅時効、

身元保証などにおいて影響があることが予想されます。

今回は気になる労働契約の終了、賃金請求権の消滅時効についてご紹介したいと思います。

[Point1] 労働契約の終了について

①民法における期間の定めのない労働契約での退職の意思表示と労働契約の終了

〈改正前〉

原 則  : 退職の意思表示から2週間経過で終了

月給制: 退職の意思表示から賃金締め日までで終了

( 賃金期間後半の申出の場合は翌賃金期間の満了までで終了)

年俸制: 退職の意思表示から3ヶ月経過で終了

〈改正後〉

一律退職の意思表示から2週間経過した場合に労働契約終了となる

②民法改正により就業規則が無効に?

今回の改正で一律2週間とされることにより、現在就業規則で

「労働者からの退職の申出は1ヶ月前(あるいは3ヶ月前)までにしなければならない」と定めている場合でも、

この改正民法が強行法とされれば、法的には無効となるおそれがありますので今後留意が必要です。

 [Point2] 賃金請求権の消滅時効

①民法の時効と労働基準法の時効

〈民法における時効〉

現在、職業別の短期消滅時効制度により賃金請求権の時効は1年だが、

改正後、 職業別の短期消滅時効制度が廃止され、時効は5年に変更

〈労働基準法における時効〉

賃金2年、退職金5年

②民法と労働基準法の関係

この時効の消滅について民法の特則として労働基準法は制定されており、

労働基準法が優先的位置付です。(「民法<労働基準法」の関係)

よって、今まで民法では1年とされてきた賃金請求権の時効ですが、

労働基準法が優先されるので2年となっていました。

③民法改正により時効が変わる?

そもそも民法で1年のものを労働基準法で2年に延ばし、

労働者有利の法律が適用されてきましたが、民法でそもそもの時効が5年となった場合、

特別法で2年に短縮することはできないのではないか、という見解がでています。

まだ決せられていませんが賃金請求権の時効が変更になる可能性もあるので留意が必要です。

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≪2019年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.194より≫
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