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いよいよこの4月より労働基準法が改正され、年次有給休暇(以下、年休)の5日取得義務が施行されます。
今回は、年休の基礎知識から、よくある問合わせについてまとめてみたいと思います。
[Point1] 発生要件
一定の継続勤務期間を経過した日(基準日)に8割以上の出勤率を満たすことにより、
勤続年数に応じた日数の年休が付与されます。
①勤続年数に応じた付与日数
②全労働日の8割以上出勤要件
【出勤したとみなすもの】
(1)業務上の負傷により療養のため休業した期間 (2)産前産後の女性が法第65 条の規定により休業した期間
(3)育児・介護休業法による休業した期間 (4)年次有給休暇を取得した日
・斉一的取扱いにより法定の基準日よりも前に付与する場合の出勤率算定は、短縮された期間は、
全期間出勤したものとみなすこと。
③比例付与
次の条件を満たす労働者は比例付与の対象となります。
1週間の所定労働時間30時間未満 かつ 1週間の所定労働日数4日以下
[Point2] 時間単位年休
使用者は労使協定により、次の事項を定めた場合において、
①の労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、
当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
(1)時間を単位として有給休暇を与えることができる労働者の範囲
(2)時間を単位として与えることができる有給休暇の日数(5日以内に限る)
(3)時間を単位として与えることができる有給休暇の1日の時間数
(4)1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数
・利用目的によって時間単位年休の対象労働者の範囲を定めることはできない。
・労使協定による計画的付与として時間単位年休を与えることはできない。
[Point3] 計画的付与
使用者は、労使協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、
有給休暇の日数のうち(前年度からの繰越分も含めて)5 日を越える部分については、
その定めにより有給休暇を与えることができる
・計画付与が決まった日数については、時季指定権、時季変更権とも行使できない。
・事業場全体の一斉付与により、有給休暇の権利のない者を休業させる場合には、
特別休暇を与える等の措置をとらない限り、休業手当を支払わなければならない。
[Point4] よくあるお問合せ
●有期契約から無期契約に変わった場合の勤続年数の通算
有期契約から無期契約に変わった場合の勤続年数の通算契約形態が変更になっても雇用関係が継続している限り通算されます。
●休職や育児休業申出により労働義務が免除されている者の取扱い
休職発令により、労働義務が免除されている場合には、年休の請求権を行使できない。
育児休業申出後の育休期間も同様に請求ができない。
●年休の買上げ
時効等により結果的に未消化となった年休日数に応じて手当を支給することは違法ではない。
●退職予定者から退職日までの所定労働日のすべてに年休請求があった場合の時季変更権行使
時季変更権については、「事業の正常な運営を妨げる場合に、使用者が他の時季にこれを与えることができる」とされており、
退職後には変更ができないため、行使できない。
≪2019年4月1日発行 マロニエ通信 Vol.194より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie