2018年06月28日 (木)

日本に永住したい!

先日、長年確定申告のお手伝いをしているアメリカ人のシステムエンジニアの方が、

「日本の永住者になれた!」と大喜びで、「永住者」資格が記された在留カードを見せてくれました。

ご家族ともども日本が大好きで、永住を望まれるようになったため、

永住ビザを申請し、めでたく認定されました。

日本に住む外国人の方が「永住者」の資格を取得すると、

主に以下のようなメリットを享受することができます。

 

① 在留期限がなくなる

通常の就労ビザは、1年、3年といった期限がありますが、永住ビザは在留期限がありません

よって更新手続きも不要です。

 

② 仕事の種類の制限がなくなる

通常の就労ビザでは、「技術・人文知識・国際業務」など、就労できる仕事の内容が決まっています。

永住ビザですと、その制限はなくなり、どんな仕事も可能になります。

 

③ 起業がしやすくなる

普通の外国人は、日本で起業しようとすると「経営・管理ビザ」を取得する必要がありますが、

「永住者」になると「経営・管理ビザ」は不要

すなわち日本人と同じ扱いになり、資本金1円での起業も可能になります。

 

④離婚しても日本に住める

「日本人の配偶者等」のビザで在留している外国人は、日本人と離婚したら、

別のビザを取得しない限り日本に住めなくなってしまいますが、

「永住者」になっていれば、離婚してもそのまま住み続けることができます

 

話し合う外国人 (2)

 

こうしたメリットがあることから、永住ビザ取得を希望する外国人はとても多いのが現状なのですが、

それ故に会社の労務上のトラブルになることもあり得ます。

永住ビザを取得するには、通常申請時に過去10年間ずっと日本に住み続けていなければなりません。

そしてその途中で日本から離れて外国に住んでしまうと、一旦ゼロカウントになってしまうのです。

そのため、将来的な永住ビザ取得を希望する外国人社員が、本国を含む外国への転勤を拒否するという事案が少なくありません。

会社の命令により赴任させることはできますが、こうしたトラブルを避けるため、

例えば、転勤命令の際には永住ビザについて考慮しない旨、雇用契約や覚書において明記し、

予め本人の了解を取っておく方法が考えられます。

外国人社員の雇用においては、在留ビザについて十分配慮した労務管理が求められます。

 


≪2018年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.184より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie