2017年03月16日 (木)

ベーシックインカムを日本の会社に導入すると何が見えるか

今年は働き方改革元年と言われています。女性や高齢者の社会的活躍を奨励しています。

同一労働同一賃金を謳い、長時間労働など劣悪な労働環境を是正する。

労働者側はワーク・ライフ・バランスが保たれることで労働生産性が上がり、

経営者側はその高い生産性を期待することができるということですが、

両方がメリットを感じるためにはシステムの見直しと個人の意識改革も必要とされます。

 

ベーシックインカムという言葉をご存じでしょうか。

ベーシックインカムとは、

年齢や就労状況、資産の有無など関係なく、

全国民に一律で現金が支給される制度です。

 

例を言うと、何歳であっても、働いていてもいなくても、誰にでも毎月10万円が支給されます。

ただし、10万円では生活が成り立たなかったり、求めている暮らしが出来ないと考える人は、

仕事によってより多くの収入を得ることが可能、という仕組みです。

 

全国民に基本的な収入がある代わりに、年金や生活保護という仕組みはありません。

ベーシックインカムには莫大な予算が必要となりますが、その分仕組みはシンプル。

年金などに掛かる運用コストが必要ないため、削減できる税金もあると考えられます。

とは言え、地域的格差などから賛否両論あるシステムなので導入は簡単ではありませんが、ヨ

ーロッパ等では議論が続いており、小さな規模で実験的に行っている地域もあります。

私が言いたいのは、「日本にもベーシックインカムを導入しよう」ということではありません。

 

ベーシックインカムは、

もしかしたら日本の会社を救うシステムになり得るのかもしれない、

ということなのです。

団塊の世代のリタイアや少子化による労働力の減少など、避けて通れない問題が未来に待ち構える中、

会社は労働力を確保し続けなくてはなりません。

社員の労働時間は減らしながらも生産性は保たなければならない。

今まで通りのやり方は通用しない時代に入っています。

 

様々な国で議論が続いているベーシックインカムという仕組みを、

国ではなく会社に導入するとどうなるでしょうか。

すべての社員にある同額の給与を払い、

それ以上は成果に基づく報酬とするのです。

 

組織は大きくなればなるほど様々なタイプの人で構成されることになります。

大きな成果を上げられる社員もいる一方で、なかなかうまくいかない社員もでてくるでしょう。

 

あまりにも成果に差があると、

人はつい「自分はこんなに頑張っているのに」「成果を上げていない人が高い給料をもらっている」と、

不満を持ってしまいがちです。

年齢や性別に関係なく安心感と公平さが生まれる一方、

働かなくてももらえるのならそれだけでいい、という人もいるかもしれません。

でも、それはそれでいいという考え方もあります。

 

生じるであろう事柄に対応しながら、全ての社員がうまく働けるようコントロールすることができれば、

ベーシックインカムは仕事の質を高める仕組みとして有益になるかもしれません。

そしてそれをコントロールすることは、管理職としての大事な仕事です。

 

社会全体の労働力は減っていきます。

しかし会社は労働力を確保しなくてはならない。

そして社員は各自の資産を自分で形成していかなくてはならない。

 

働き方改革で、会社と社員それぞれの意識改革も必要とされているのです。

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