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ワークライフバランスという言葉が一般的になってから随分経ちます。
これは平成19年に政府の取り組みとして
「仕事と生活の調和推進のための行動指針」という名で策定されました。
誰もがやりがいや充実感を持って働きつつ、家庭や個人の時間を持ち、
健康で豊かな生活ができるよう、仕事と生活の調和の実現を目指していくというものです。
企業は「ワークライフバランス」をどのように捉えているのでしょうか。
業務の分担や働く時間の管理など、仕組み化されている会社もありますが、
未だサービス残業やパワハラ、残業代未払いなど、多くの問題が取り沙汰されます。
往々にして会社の代表は社員へ効率の良い働き方を求めるものです。
しかし「効率的な働き方」とは、人によって受け止め方の違うもの。
ある人は「密度の濃い仕事をするべき」と受け止め、
ある人は「労働時間を短くするべき」と捉える。
捉え方の違いで、現場内でじわじわと歪みが起きるのです。
それは経営者の知らないうちに…。
より成果を上げようとして申告せずに残業をする人、
残業をするべきではないと考えたばかりに周りの人に仕事を任せてしまう人。
様々なタイプの社員に対して、経営者や管理者からの画一的なメッセージでは伝わらないのです。
つまり、「ワークライフバランス」を単なる言葉遊びのように捉えて、
自己満足で行っているだけの会社も多いのではないでしょうか。
「効率化」という一言のメッセージで済ませるのは、経営者や管理者の怠慢です。
そのような指導や管理をしていては、世間を騒がすような悲劇を生みかねません。
働きやすい会社という綺麗な言葉だけが独り歩きして、実際は未申告の残業があった会社が多いことについては、
昨今のニュースを見ればわかることです。
労働基準法には「月に60時間を超える残業が発生した場合、50%以上の割増賃金を支払う義務」
という規定があります。
しかしこれは大企業に限ったことで、中小企業の場合は数年の間、猶予されています。
ただ、この猶予はあと数年の間。残業が当たり前になっている会社で割り増しが適用されれば、
人件費が大きく膨らむことは目に見えています。
そのために会社はどうするべきなのか。ここで経営者の「ワークライフバランス」に
対する本気度が測られることとなるでしょう。
今までのように放置していると、社会はどんどん厳しくなる一方です。
働きにくいからと社員が辞めていくという「人材流出」だけが問題ではなく、
労働基準監督署立ち入りによる「行政処罰」になるほどの問題になりかねません。
また、36協定を届けていれば、どんな働き方でも問題ないと考えている会社があるのも事実です。
しかし、その36協定にサインした「労働者代表」は、正しく選任された人物でしょうか。
会社側で指名した代表者が、社員の知らないところで協定を締結していたとして、
会社が書類送検された例もあります。
昔CMにあったように「24時間戦えますか」の時代ではないのです。
仕事とプライベートのどちらも充実した働き方をすること、
そしてそれぞれの人が周りの人のワークライフバランスにも配慮すること。
残業や働き方の見直しは、もう後回しにはできません。
すぐに取り組まなければ、会社の屋台骨を揺るがすほどの大きな問題に発展するのです。
今こそ、会社主導で働き方を見直していきましょう。