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医療費の増加を背景に、持続可能な医療保険制度の実現に向けて、
必要な保険給付等の適切な実施と世代間や世代内での負担の公平性の確保を図るため、
健康保険法等の改正が行われています。
今回は、その改正の中でも令和8年8月に施行予定の高額療養費制度の改正について説明します。
なお、本記事は国会審議中の内容(5月1日現在)を基に作成しています。
最終的な制度内容は変更される可能性がありますので、
実務対応の際は最新の情報をご確認ください。

高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、
医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食事負担等は含みません)が、
ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、
その超えた金額を支給する制度です。
重い病気などで病院等に長期入院したり、
治療が長引いたりした場合の家計の急変を防ぐ制度であると考えられます。
具体的な制度の利用方法は2つに分かれます。
①限度額適用認定証
事前に手続きを行い、医療機関で受診をする際に
限度額適用認定証を提示することで支払い金額を抑える方法です。
また、マイナ保険証を利用することでも対象となります。
➁高額療養費
限度額適用認定証を利用せずに支払いを行った場合や、
世帯内の複数の方の医療費の合算額が高額になった場合、
一人で複数の医療機関を受診し、その合算額が高額になった場合に、
その合算額が自己負担限度額を超えた分だけ保険者(健康保険)から還付を受けることができます。
上限額は、年齢や所得によって異なり、
70歳以上の方は外来診療のみの合計値で限度額の設定もされているため、
実際に対象となるかどうかは個々の状況をご確認ください。
令和8年8月施行予定の改正法の概要
令和8年8月の改正では、医療費の上限額に関する改正が行われます。
①月額上限の引き上げ
手術を受ける場合など、一時的に高額の医療費が必要になる月がある場合、
その月のみで考えると被保険者の医療費負担が増大する可能性があります。

➁年間上限(8月起算)の新設
被保険者が支払う医療費の年間上限が設定され、
月単位の負担増を年間で相殺する仕組みが導入されます。
1か月ごとの医療費が高額でない場合でも制度の対象となるため、
長期に継続して治療を受ける被保険者の負担軽減につながることが期待されます。

③70歳以上の外来特例の見直し
70歳以上の高齢者は、加齢に伴って疾病リスクが増すこと等から、
外来診療にかかる医療費についても、自己負担の月額上限が設定されていました。
今回の改正では、現役世代の保険料負担軽減の観点から、当該外来特例も見直されています。
令和9年8月施行予定の改正法の概要
令和9年8月施行予定の改正法では、医療費の上限額を算出する基準となる所得区分が細分化されます。
現行よりも細かく区分することで、所得に応じた負担の公平性を高める狙いがあります。
また、所得区分の変更に応じて限度額ができる限り急増又は急減しないような設計とされています。
月単位で見れば、所得が高いほど窓口負担の増加が大きい改正であると言えますが、
年間上限の設定により、セーフティネット機能を維持・強化するものとされています。
高額療養費制度に限らず、医療制度は持続可能性の確保に向けて法改正が続く見込みです。
最新情報を収集する事が重要です。
≪2026年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.280より≫
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