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厚生労働省の統計によると、日本の派遣労働者数は近年増加傾向にあり、
令和5年6月1日時点では派遣労働者の総数は対前年比3.4%増の約192万人となりました。
派遣労働者が増加している背景には、
労働者の自由な働き方への関心が高まっていることや、子育てや介護との両立など
個人の事情に合わせた働き方が選択されるケースが増えてきたことがあげられます。
今回は派遣労働者に焦点を当て、派遣労働者の受け入れ時に
派遣先事業主が知っておくべきポイントを見ていきたいと思います。
派遣期間の制限
派遣期間の制限には派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の2つの制限があります。
それぞれ最長で3年となりますが、
事業所単位の期間制限については、所定の手続きをすることで
3年を超えて(延長して)派遣労働者を受け入れることができます。
一方、個人単位については同一の組織単位(同じ課など)に対して3年が限度となります。
派遣期間に制限が設けられている趣旨は、
派遣労働者の常用代替(いわゆる正社員を採用せず、派遣労働者を継続的に使う)防止と
流動化による派遣労働者のキャリアアップ促進です。
事前面接と1年以内の離職者派遣の禁止
派遣先事業主が予め派遣労働者を特定する行為(事前面接など)は、
直接雇用において採用選考を行うことと同じであり、
派遣労働者の雇用主が誰かわからなくなってしまうため禁止されています。
(紹介予定派遣を除く)
上記に加えて、派遣先事業主が直接雇用していた労働者を
離職後1年以内に派遣元事業主を介して派遣労働者として受け入れることは、
本来直接雇用すべき社員を派遣労働者へ置き換えることを防ぐ目的から禁止されています。
(60歳以上の定年退職者を除く)
労働者派遣法における派遣先事業主の義務
派遣労働者が安全かつ効率的に業務を遂行できる環境を整備するため、
派遣先事業主は、
①派遣先責任者の選任
②派遣先管理台帳の作成
③派遣労働者の社会保険の適用確認
などの義務を負います。
労働契約申し込みみなし制度
労働契約申し込みみなし制度とは、
違法な派遣(※)が行われた場合に派遣先事業主に適用される制度です。
派遣先事業主が違法と知りながら派遣労働者を受け入れた場合、
派遣先事業主が派遣労働者に対して派遣元事業主と同じ労働条件で労働契約を申し込んだとみなされます。
派遣先事業主も派遣期間、業務内容などの確認が必要です。
※違法な派遣
・派遣労働者を禁止業務に従事させた場合
・無許可の派遣会社から労働者派遣を受けた場合
・事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けた場合
・個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けた場合
・偽装請負等
これらのポイントを理解し、適切に対応することで派遣労働者を効果的に活用してみてはいかがでしょうか。
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≪2024年9月1日発行 マロニエ通信 Vol.259より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie