2026年01月22日 (木)

令和8年春季労使交渉について

毎年2月から3月にかけて行われる春季労使交渉(春闘)では、
労働組合が企業に対して賃上げをはじめとした
労働条件の向上を求める要求が行われます。
直近数年間の高い賃上げ水準は今年も継続となることが見込まれる一方、
昨今の物価高と実質賃金の低迷に対して
どのような水準となるのか注目が集まっています。

春季労使交渉による賃上げ推移

春季労使交渉による賃上げは、
これまで1-2%程度の水準を辿ってきましたが、
令和5 年には約30年ぶりとなる3%超の水準となり、
以降は更に高い水準での賃上げが続いています。

労働組合員300名未満の中小企業においても継続して賃上げを実施していますが、
直近では大手企業との格差が目立ち、
また中小企業間でも労働組合の有無による格差が生じている状況です。

日本商工会議所の『中小企業の賃金改定に関する調査(2025年)』によると、
令和7年度の賃上げについて、
「賃上げを実施(または予定)」が69.6%(前年比4.7%減)、
「未定」が 23.5%(前年比3.1%増)、
「賃上げを見送る」が6.8%(前年比 1.4%増)
で、
価格転嫁の遅れや米国関税措置等による先行き不透明感の懸念が表れていると考えられます。

物価高と実質賃金の減少

総務省が発表する消費者物価指数は、
令和 7 年の各月において前年同月比で概ね 3%以上の増加となっています。
また厚生労働省が発表する実質賃金指数については、
令和 7 年の各月において前年同月比でマイナスとなっており、
直近数年間で大幅な賃上げが実施されたものの、物価上昇には追い付かず、
消費者が賃上げの実感を持てないという声が上がっている要因の一つと考えられます。

令和8年春季労使交渉について

こうした環境を踏まえ、令和8年の春季労使交渉では
実質賃金の上昇に焦点が当てられる見通しです。
連合は交渉の基本構想として、昨年同水準の賃上げ要求と併せて
「実質賃金を1%上昇軌道に乗せる」といった目標を前面に掲げています。
経団連についても、賃上げの定着と実質賃金の安定的なプラス化を指針に含めて
交渉に臨むことが見込まれます。

最低賃金の引き上げも進められる中、
人件費高騰への対応が必要であることは勿論ですが、
従業員のエンゲージメント向上や優秀人材の確保、
企業価値の向上にも繋がる“投資”という側面も踏まえ、
価格転嫁や DX による効率化の推進など、
企業の持続的な成長のための具体的な検討が必要となっています。

参考
『連合結成以降の平均賃金方式での要求・賃上げ状況の推移(2025年7月3日掲載)』連合
『中小企業の賃金改定に関する調査の集計結果について(2025年6月4日掲載)』日本商工会議所
『2026春季生活闘争 基本構想(2025年10月23日掲載)』連合

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≪2026年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.275より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie