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昨年秋、テキサス州ダラスにて、
Google系のWymo社が運営している自動運転タクシー(ロボタクシー)を初めて見ました。
やはり、無人のタクシーが市街地を自走しているのを見ると、
かなりインパクトがありました。
Wymo社のロボタクシーはまだテスト段階ですが、
米Uber社と蘭Nebius社は、自動運転スタートアップAuride社に大型出資し、
2025年末までにダラスでのロボタクシー商用展開を明言しました。
Wymo社もLyft社も、2026年にダラスで商用ロボタクシーを導入すると表明していますので、
今後数年は、ダラスが、複数の自動運転サービスが稼働する全米最先端の都市となりそうです。
日本では、人間が運転するライドシェアですら解禁されていませんので、
彼我の違いは大きいと感じております。
上記はロボタクシーに関する話題ですが、
米国では、「ロボット上司」が問題になっていることを、ご存知でしょうか。
米国では既に、採用プロセスでの絞り込みや、人事評価の場面で、
AI機能を備えた自動化ツールを利用する企業が、爆発的に増えています。
一方、こうしたツールは、性別や人種等に基づくバイアスを伴う過去の情報が蓄積されており、
その活用により雇用差別が生じる可能性が懸念されています。
例えば、CA州議会は、2025年9月に、
有名な「ロボット上司禁止法案(No Robot Boss Act:通称SB-7)」を可決しました。
SB-7は、雇用主に対して、
人間の監視なしに、AIなどの自動意思決定システム(ADS)に依存して、
従業員の懲戒処分や解雇を行ってはならないと規定し、
ADSの使用について、雇用主が従業員に事前に書面で通知することを求めていました。
しかし、CA州のニューサム知事は、
「無害なツールを使用している企業にも、焦点の定まらない通知義務を課している」
として、同年10月には法案に署名せず、拒否権を発動しました。
この他、ニューヨーク市では、2023年7月に、
企業の採用活動等におけるAIの活用を規制する条例を施行しました。
「自動雇用決定ツール(AEDT)」を使用する場合、
性別や人種等で偏りが生じないか、第三者による監査を事前に受けるよう、義務付けました。
一方、米連邦政府は、AIの規制の緩和を重視しています。
2025年7月、トランプ大統領は、
「AI競争での勝利-米国のAI行動計画(Winning the AI Race:America’s AI Action Plan)」
を発表しました。
①友好国・同盟国へのAIの輸出
②データセンターの急速な構築
③イノベーションと導入の促進
④連邦政府の調達ガイドライン
について定めています。
具体的内容として、
例えば③では、AIの開発と展開を妨げる連邦規制を撤廃すること、
撤廃すべき規則について民間部門の意見を求めることを挙げています。
よって、AIの開発・利用における安全性の確保より、
規制緩和による開発の促進を重視したものになっています。
先に見たように、州・地方政府では、AIの安全性を確保するため、
規制を設けたいと考えているところが少なからずありますので、
今後、連邦政府と州・地方政府との対立が、先鋭化するおそれもあります。
日本では、雇用・人事に関するAI開発・利用の規制に関する議論は、
あまり進んでいないように見受けられます。
いつの間にか、「ロボット上司」により
社員の採用・人事評価の決定がなされていることにならないよう、
早い段階で議論を深めていただきたいと感じております。

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≪2026年1月1日発行 マロニエ通信 Vol.275より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie




