2023年06月22日 (木)

労働保険・年度更新のチェックポイント

労働保険の年度更新の時期となりましたので、改めてチェックポイントについて解説します。

年度更新とは

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として計算されます。
その間で全ての労働者に支払われる賃金の総額に
事業の種類ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。

年度更新では、上記の算定期間ごとに概算で保険料を事前納付し、
年度終了時に前年度の保険料を精算します。

これらの届出を毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。

 

雇用保険料率引き上げに伴う留意事項

雇用保険料率は、昨年4月を皮切りに昨年10月、本年4月と
3回にわたり引き上げられたため、保険料算出には注意が必要です。

●保険料率の推移

●確定保険料の算出

①労災保険料と雇用保険料は分けて集計を行います。

②上半期(令和4年4月~9月)と下半期(令和4年10月~令和5年3月)に分けて賃金の集計を行い、
算出した確定賃金総額に保険料率を乗じて半期ごとの保険料を算出します。
※料率に変更のない労災保険料も半期ごとに算出します。
※この時点では1円未満の端数も切り捨てません。

③半期ごとに算出した、保険料を合算し1円未満の端数が出た場合は切り捨てます。
※労災保険と雇用保険の確定賃金総額が同額の場合に限り、
労災保険料と雇用保険料の1円未満の端数の和が1円以上となるときには、
労災保険のみ端数を切り上げます。

●概算保険料の算出

例年通り、労災保険、雇用保険それぞれの確定賃金総額に
現行の保険料率を乗じて算出します。

 

その他の集計時のチェックポイント

確定保険料の集計には大きく分けて3つのチェック項目があります。

①対象者の確認
●役員の扱い:役員は対象外ですが、兼務役員は従業員給与分のみ対象となります。
●出向者の扱い:出向者について雇用保険は出向元、労災保険は出向先で対象となります。

②算定賃金の確認
労働者に支払った立替金や経費精算、慶弔金等、賃金に該当しないものは集計の対象外となります。

③保険料率の確認
労働局より送付される申告書に保険料率が記載されています。

 

今年は例年以上に年度更新作業に神経を使うことになります。
厚生労働省も賃金集計支援ツールを公表しています。
よろしければこちらをご活用されてみてはいかがでしょうか。

出典:厚生労働省   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouhoken.html
「年度更新申告書計算支援ツール」(令和5年4月27日閲覧)

 

*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*….*…..*……*…..*…..*…..*…..*…..*…..*
≪2023年6月1日発行 マロニエ通信 Vol.244より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie