2021年12月09日 (木)

傷病手当金の支給期間通算化について

健康保険法の改正に伴い、2022年1月1日より傷病手当金の支給期間が見直されます。
そこで、今回はその改正点を解説いたします。

 

傷病手当金とは

傷病手当金は、病気や怪我により働くことができず十分な報酬を得られない健康保険被保険者に対して、
被保険者とその家族の生活を保障するための制度として、下記すべての要件を満たす場合に健康保険より支給されます。

 

 

●支給要件
・業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間(待期期間)を含み、4日以上仕事に就けなかったこと
※連続して3日間休んだ後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
・休業した期間について給与の支払いがないこと

●支給額

なお、支給開始日以前の加入期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額となります。
①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値
②健康保険組合等の全被保険者の標準報酬月額の平均値

 

支給期間の通算化

現行の傷病手当金の支給期間は、「支給を開始した日から最長1年6ヵ月」とされており、
一時的に就労可能な状態で傷病手当金が支給されない期間が生じたとしても
この支給期間には復職した期間も含まれるため
再度の休職期間中に十分な保障を受けられないケースが見受けられました。
そこで、2022年1月1日以降は、
支給期間を通算して、1年6ヵ月を経過した時点まで支給される」こととなりました。

なお、通算される支給期間については、初回の申請から3日間の待期期間を経て、
支給を始める4日目より歴に従って支給期間を確定し、残日数を管理していきます。

例えば、2022年3月1日に初回の支給申請を行った場合、
支給開始日は2022年3月4日となり、支給期間は2023年9月3日までの549日間となります。
その間に支給されない期間がある場合には、当該支給期間の残日数は減少されません。

 

改正前より傷病手当金を受給している場合

2022年1月1日より前に傷病手当金を受給している場合の取扱いについては経過措置が設けられており、
2021年12月31日において、暦の通算で1年6ヵ月を経過していない場合には
改正後の支給期間が適用されます。
ただし、2022年1月1日より前に暦の通算で1年6ヵ月を経過しているものについては、
支給期間の通算は適用されません。

 

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≪2021年12月1日発行 マロニエ通信 Vol.226より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie