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本年4月1日に施行された、改正旅費法をご存知でしょうか。
世間一般ではあまり話題になっておりませんが、
国家公務員等が出張する際の支給について定めるものですから、
関係者への影響は大きいものです。
この法律、何と75年ぶりの改正とのことで、これまで放置されてきたことが驚きです。
旧旅費法では、例えば、
(1)特急料金は、片道100km以上移動する場合に支給する
(2)車賃(バスや路面電車等を利用する際の旅費)は、原則、1kmにつき37円を支給する
といった、一見不思議な規定がそのままであり、経済社会情勢に全く合わないものでした。
今回、手続き面、金額面とも、抜本的な改正が行われたのですが、
内容的に、特に海外出張に関して、民間企業も大いに参考になるものと思われます。
例えば、これまで、個人にしか支給できなかったものを、
旅行代理店等にも直接支給できるようにして、
出張者の立て替え負担をなくすなどの手続き簡素化が図られています。
そして何より、支給金額の大幅修正が注目されています。
例えば、宿泊費について、
これまで一定額渡し切りだったものを、上限のある実費精算としました。
その上限額は大幅アップし、
例えば課長級以下のニューヨーク出張で、1泊57,000円となりました。
本邦民間企業で、課長級以下にこれだけの金額を出せる会社は、
多くないのではないでしょうか。
更には、例外規定もあり、この上限額を超える場合でも、
本人負担なく支給できるケースを明示しています。
改正旅費法に基づく省令および運用方針には、
「宿泊費基準額の範囲内で宿泊できない場合であっても、一定の条件に合致するときは、
財務大臣への協議を経ることなく各庁の長(旅行命令権者)の判断により
宿泊費基準額を超えた実費額を支給することを可能とする」
とあり、その例として、
「②メタサーチサイト等による検索:
公務の円滑な遂行上支障のない範囲及び条件において検索し、
その結果から最も安価な宿泊施設を選択するとき」
が挙げられています。
筆者も、「年間100万円は⾃己負担していた」という、
海外出張の多かった官僚OBの方のボヤキを聞いたことがありますので、
今後こうした事態が避けられるのは、喜ばしいことと感じます。
一方、問題なしともしません。
一企業の旅費規程ではなく、国家公務員全体の旅費に係る法律なので、
実務的には、「法律」-「政令」-「省令」-「運用指針」という、ピラミッド構造になっています。
これを起案した人以外が読みこなすのは、かなりの労力です。
結果として、ネット・SNS上では、改正された内容について誤解している、
またはそもそも読まずにコメントしているものが目立ちます。
各省庁の給与担当者ですら、まだ理解できていない職員も多いと聞きます。
個人的には、
財務省の広報誌「ファイナンス」で、起草に当たった財務省担当者が、
「法律」「政令」「省令」に分けて、コンパクトに解説してくれていますので、
必読と思っております。
75年前、旧旅費法が制定された時には、
民間企業がこぞって会社の旅費規程の模範としたそうです。
繰り返しになりますが、今回の改正は、模範になるかは別として、
民間企業にも大いに参考になる内容だと思いますので、
目を通していただくことを、お勧めしたいと思います。

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≪2025年12月1日発行 マロニエ通信 Vol.274より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie




