2026年02月19日 (木)

同一労働同一賃金ガイドラインの見直しについて

働き方改革関連法の施行から5年に際し、
同一労働同一賃金ガイドラインの見直しが検討されています。
ガイドライン見直しの背景や概要について、詳しく解説します。

背景と目的

ガイドラインは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間に待遇差がある場合、
どのような待遇差が不合理であり、どのような待遇差が不合理ではないかを、
待遇ごとに考え方と典型的な具体例を示したものです。

現行のガイドラインでは一部の手当や休暇制度について規定がなく、
曖昧さゆえに企業ごとに対応が異なることが問題となっていました。

また、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇差の是非を問う
重要な最高裁判決が相次いだことから、最高裁判例法理をガイドラインに反映し、
これまで曖昧だった待遇差の合理性の説明責任を、
支給目的や職務内容等に基づいて明確に示すことを目的としています。

見直しの概要について

昨年11月、厚生労働省の労働政策審議会において
「同一労働同一賃金ガイドライン 見直し(案)」が提示されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001598238.pdf
見直し案では、現行ガイドラインに規定されていない5項目が、
近年の最高裁判決を踏まえて追加されています。

● 退職手当
 退職手当には、労務対価の後払いや功労報償等の性質・目的があり、
 これらの性質・目的に該当する非正規雇用労働者に対しては、
 退職手当を支給すべきという考え方が示されました。
 正規雇用労働者と同額である必要はありませんが、
 正規雇用労働者との職務内容・配置変更の範囲等の違いに応じて
 均衡のとれた内容でなければなりません。

● 家族手当
 労働契約の更新を繰り返している等、継続勤務が見込まれる非正規雇用労働者には、
 正規雇用労働者と同一の家族手当を支給しなければならない旨が示されました。

● 住宅手当
 転居を伴う配置変更の有無に応じて支給される住宅手当については、
 転居を伴う配置変更がある非正規雇用労働者には、
 正規雇用労働者と同一の住宅手当を支給しなければならない旨が示されました。

● 無事故手当
 正規雇用労働者と非正規雇用労働者で業務内容が同一の場合は、
 正規雇用労働者と同一の無事故手当を支給しなければならない旨が示されました。
 無事故による安全確保を評価するという支給目的は、
 雇用形態に関わらず同じであるためです。

● 夏季冬季休暇
 非正規雇用労働者にも、正規雇用労働者と同一の夏季冬季休暇を
 付与しなければならない旨が示されました。
 年次有給休暇や病気休暇等とは別に、
 労働から離れる機会を与えるという夏季冬季休暇の付与目的は、
 雇用形態に関わらず同じであるためです。

今後企業に求められる対応

正規雇用労働者と非正規雇用労働者との待遇差の合理性について、
これまで以上に明確で具体的な説明が求められます。

自社の各種手当や休暇制度について見直しを行い、待遇差がある場合は、
支給目的や職務内容等に基づくものとして合理的な説明ができるかを点検し、
必要に応じて制度設計の見直しを行いましょう。

人手不足が深刻化する中、非正規雇用労働者の待遇改善は優秀な人材を確保し、
定着させるために欠かせません。
雇用形態に関わらず、全ての働く人が納得感を持って力を発揮できる制度設計が求められています。

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≪2026年2月1日発行 マロニエ通信 Vol.276より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie