外国人就労ビザの厳格化

高市政権による外国人の就労ビザの厳格化については、
メディアや SNS でも喧伝されています。

具体的な例として、在留資格「経営・管理」に関しては、
2025年10月16日に、法務省(入管)の関連上陸基準省令が改正・施行されました。
これにより、資本金・出資総額がこれまでの最低500万円から3,000万円に上昇、
従業員雇用は選択的であったものが1人以上の常勤職員雇用が義務となり、
本人または常勤職員に相当程度の日本語能力を要求するなど、
ハードルが一気に上がりました。

実体を持たない経営者を排除することが目的ですが、
これにより、街のカレー店など、実体はあるが零細規模の事業経営者が、
今後在留資格が更新できなくなるという懸念が広がっています。

ホワイトカラー職種の中核資格である「技術・人文知識・国際業務(技人国)」についても、
入管が2026年4月15日に、許可基準を明確化するガイドラインを公表しました。
この中で、以下の 3 点が要件として明示されました。

①行おうとしている活動が、入管法別表にある資格に該当すること
 (一定水準以上の専門的能力が必要)
➁基準省令にある上陸許可基準に適合していること
 (大学等で取得した知識と従事業務の合致)
③入管法に定める義務の履行
 (在留カードに係る届出等)


これは、本来「専門的・技術的業務」に従事するための在留資格なのに、
飲食店の店長名目で配膳、ホテルのフロント担当名目で清掃、
製造業の生産管理名目でライン作業など、
制度の趣旨と異なる使われ方が常態化していたことへの対応です。
また、「技人国と特定技能との棲み分けの明確化」という本質が見て取れます。

この他にも、2027年4月に外国人技能実習制度が廃止され、
新たに育成就労制度が開始されることに伴う認可要件の厳格化も大きな動きです。

一方、米国での外国人へのホワイトカラー就業の制限は、さらに苛烈なものがあり、
直近では、H-1Bビザの制限強化が、大問題になっています。

H-1Bビザは、専門職に従事する外国人が長期就労するためのもので、
日本でいう技人国と高度専門職の中間的な位置を占め、
ホワイトカラー外国人にとって、極めて重要なビザです。

2025年9月に、国務省は、新規H-1Bビザ申請者の入国に際し、
10万ドル(約1600万円)の手数料を課すこととし、
これにより、多くの企業が申請そのものを断念する状況が発生しています。

また、2026年3月には、労働省(DOL)は、
H-1B申請に必要な「一般賃金(Prevailing  Wage)」と呼ばれる最低賃金を、
21%から33%引き上げる旨の規則案を公示しました。
この規則の最終決定は2026年末以降ですが、
エントリーレベル労働者に適用される「賃金レベル I」がかなり引き上げられます。
これにより、実質的に中小企業の多くがH-1Bビザ制度が利用できなくなることが懸念されています。

そして、直近では、米国市民権・移民局(USCIS)が、
非移民ステータス変更(Change of Status,COS)につき、
重大なポリシー変更を行ったため、H-1B ビザ保有者が、
転職またはレイオフによりその資格を失った場合、
米国に合法的に在留することができなくなるという事例が発生しています。

H-1Bは、移民の力により発展してきた米国にとり極めて重要なビザですので、
このような一連の措置は、今後の産業・経済の発展にとって
負の影響を与えるとする論者もいます。

現時点では、メディア報道等にもある通り、
外国人の就業に制限をかけることは、日米のみならずグローバルな方向性と言えます。
会社の人事部門としては、政府の規制動向とその内容に留意し、
コンプライアンス上の問題や人員配置の問題が出ないよう、
先回りした行動が求められると言えるでしょう。

≪2026年9月1日発行 マロニエ通信 Vol.283より≫
https://www.arcandpartners.com/info/maronie