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人材不足には外国人雇用?

さる7月1日に、介護職種で初の外国人技能実習生となる中国人女性2人が来日し、

宮崎県の施設で今後5年間勤務する予定と報道されました。

鳴り物入りで始まった技能実習生制度の介護職への開放は、

入管法改正に伴った「介護」在留資格の創設とともに、

日本における介護人材不足解消の切り札となるのでしょうか?

 

この点に関し、金融系シンクタンクのドイツ人アナリストの方から、

興味深いお話を伺う機会がありました。

 

ドイツにおける介護分野の人材不足状況は、驚くほど日本に似ています。

ドイツでも社会の高齢化は急速に進み、人口の5人に1人が65歳以上という現状から、

2030年には要介護者が約330万人に達すると予想されています。

 

これに対して現在の介護職員数は約110万人に過ぎず、人材の確保は大きな課題となっています。

この深刻な介護人材不足の背景には、賃金の低さ、精神的・肉体的負担の大きさ、

キャリアアップの機会の不足、社会的評価の低さがあるという調査が公表されています。

 

この人材不足を埋める形で、ドイツでは2000年代の初めから、

外国人労働者を積極的に介護現場で就労させてきました。

2015年の統計では、介護分野で働く外国人の割合は9%であり、

その過半数(54%)はポーランドなど東欧諸国を中心としたEU域内出身者でした。

EU域外では、フィリピンなどアジア諸国からも介護人材を受け入れています。

 

そしてここが問題なのですが、

外国人介護人材を積極的に受け入れていても、人材不足は緩和されていない

ということです。

社会の高齢化の速度に介護分野外国人材の流入が追いついていないうえ、

一旦ドイツで就労した介護人材がより賃金の高いイギリスなどに移住してしまい、

ドイツに定着してくれないことが原因と分析されています。

この現状から、介護分野の雇用環境を先ず改善し、

ドイツ国内の人材にも魅力的なものにしなければ、人材の確保と定着は望めない

という反省の機運が高まっているそうです。

 

即効薬的に人材不足を埋める手段として、外国人雇用は確かに有効です。

しかし、打ち出の小槌ではありません。

日本社会全体として、人材不足分野での雇用環境自体を整えていく必要があるのではないでしょうか。

 

 

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≪2018年8月1日発行 マロニエ通信 Vol.186より≫
http://www.arcandpartners.com/info/maronie

 

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